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大雪根雪万年雪(塔・茨城歌会参加記)

 昨日18日、私の住む埼玉は大雪に見舞われました。

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15cmほど積もったでしょうか。おおゆき、というと北国住まいのかたに笑われそう。

本日は陽射しが良く、だいぶ溶けてきています。

さて気が付けば一週間以上前になってしまいましたが、

1月12日に、塔の茨城歌会に参加してきました。

塔短歌会の特長のひとつに地方での歌会の充実があり、

仙台から鹿児島、ブラジル・サンパウロまで、40近くの地方歌会が運営されています。

また、選者もしくは選者に準ずるかたが地方に派遣される制度もあります。

増え続ける全国の会員のフォロー、また結社の活動が京都や東京といった

大都市に集中するのを避ける意図もあるでしょう。

茨城歌会は、私が茨城県に住んでいた当時から、8年程お世話になっています。

歌歴の長い大先輩のいらっしゃる集まりで、私は子どものように、

また私の娘や息子は孫のように接していただき、ほんとうに有難かったです。

ちょうど今月、2016年1月号の「塔」に、当時を詠んだ歌が掲載されています。

 

   歌会の部屋の隅にて子のおむつ替えし日もあり 畳の匂い  (永田和宏選)

 

そして近年は私が取りまとめ係も務めておりましたが、2016年からは諸事情により

変化がありました。そのあたりは、昨年の塔12月号「地方歌会の一年」に寄せた小文を

転記させていただきます。まっまた手抜きじゃないですたぶん!

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本年度の茨城歌会は、昨年までの会場であった土浦駅前ビルの改装に伴い、場所を牛久駅前エスカード生涯学習センターへと移しました。しかし、主要メンバーがごく少人数であるため都合調整が難しく、二か月に一回・一年に六回開催の予定が、五月と七月と、二回のみに留まってしまいました。更に茨城県内在住の会員の参加増加がなかなか望めず、従来メンバーから休会の申し出もあり、歌会の存続自体が危ぶまれる状況となっておりました。そこで三井修さんのご提案により、二〇一六年一月より、会場を取手福祉会館に移し、再出発させていただく運びとなりました。千葉県内・東京都内からもアクセスしやすくなったかと思います。詠草受付も、今後は我孫子市在住の中澤百合子さんにお任せすることとなりました。基本的に従来通り、奇数月の第二日曜開催・自由詠二首の提出となります。近郊の皆様は是非ご参加下さいますようお願い申し上げます。アットホームで奇譚のない意見交換ができる、中身のぎゅつと濃い時間が茨城歌会の持ち味でした。新たなかたちで、より充実した会となりますように。 

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今回は取手に移って初めての会で、取手駅から徒歩3分の「ウエルネスプラザ」という

新しくきれいな施設のセミナールームで行われました。

参加者は9名で、それぞれが自由詠を2首提出、選歌はせず順番に評し、

最後に作者解題をするスタイルです。

今回は塔の選者である三井修さんが参加してくださったので、

ディスカッションが一段落したら三井さんにまとめていただく形となりました。

歌会では選者の詠草も無記名で混じっていますので、同じように評するわけです。

大ベテランも新入会員も、壁を作らず等しい立場で評を交せるところが、

塔の歌会の良さだと思います。

また、選者、もしくは短歌における識者、「先生」(塔では基本、呼びませんが)

とされる人がいる歌会・いない歌会について、私なりに考えるところもあります。

が、また別の機会に宿題として書きたいと考えています。

 さて、今回の私の詠草2首のうち、1首はどこの場にも発表しないと思いますので、

ここに曝しますね。もう1首は、うん、未発表でとっておきます(欲の皮)

 

   フォルダには根雪のように残りおり「既視感あり」と評されし歌

 

「根雪」から気持ちの冷え、寂しさ、わだかまりなどを読み取っていただけました。

「フォルダ」を紙を挟んだものかと読んだ方もいらっしゃいましたが、

三井さんから「フォルダー」ならいわゆる書類綴じで、「フォルダ」ならば

PCでの保管場所を指すと解説がありました(私もPCデータを意図しました)

また、「根雪」だと春が来れば溶けてしまうので、保存すれば消えないフォルダの

比喩としては疑問、「万年雪」ならまだ筋が通るとも指摘されました。

白状すると、私の「根雪」への認識不足でした。。。もの知らず。

でもなにか「万年雪」ということばはしっくりこないので、

それこそフォルダへ寝かせっぱなしの、日の目を見ない歌になりそうです。

そして短歌の批評でときおりつかわれる「既視感」という言葉にも、

いろいろと思うところがあるのですが、これもいずれ機会があれば(また増える宿題)

 

茨城歌会の人数は少なめですが、そのぶん一首にじっくり取り組める充実の会です。

次回は3月13日、近隣の方はぜひご参加ください。

塔の会員以外の方の見学も承っております。宜しければお声がけください。