ウォータープルーフ

waterproof /沼尻つた子

超結社歌会と、所属について

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1月9日は月に一度の「ロクロクの会」へ行ってまいりました。

昨年6月6日に発足した歌会で、30〜40代の女性十数人から成っています。

ちなみにこの日に習い事を始めると、上達するという言い伝えがあるそうです。

(6歳の何倍にもなっている私たちではありますが)

全員がいずれかの結社に属し、歌歴が長いメンバーばかりです。

作歌11年目の私が一番短いくらいではないでしょうか。

 

歌会の詠草は題詠と自由詠、一首ずつがメンバーから事前にメールで提出され、

持ち回りで担当する司会進行者が詠草集にまとめます。

選歌投票ののちに批評をしあい、作者解題は最後です。

会場は都内の貸会議室利用の4時間ほどで、いつも時間が足りなく感じます。

キャリアも華もある歌人揃いなので詠草も討論も、すごく濃く面白いのです。

今月の題詠は干支に合わせ「猿」でしたが、それはもう強い猿が並びました。    (どんなだ)

未発表作なのでここでは掲載できないのですが、

私の詠草には以下のような評をいただきました。

【猿の歌について】

・初句の大切さ(毎回のロクロクの会キーワード的です)

・軽い導入から日常の一コマをなだらかに述べ、素直な感じ

・説明的な語を繰り返しているのは疑問、臨場感がある別の言葉を探しては?

・現実の生きた猿を詠ったのはこの歌だけ

・舞台をイメージできる固有名詞、地域や山の名などを入れたほうが良い

【自由詠について】

・なにげなく、無駄な力が入っていない

・情景描写に徹し、登場人物の人となりや姿が見えてくる

・こまかく観察しているが丁寧すぎるきらいもある

・同じ言葉を二度ださず、表現にもうひと工夫できないか

……等々。

 

さてこの会では毎回、それぞれの結社で選歌基準や鑑賞の視点、

批評用語などに違いを感じるのが、とても面白いです。

二次会でも結社間の話は盛り上がり、ぼんやり感じている結社間の特色を

なんとか分析し言語化し系統立てできないか!あー!と(酔っぱらいながら)

話しておりました。

同じ結社の中でも選者の欄により雰囲気が異なる、という話も興味深く聞きました。

塔は選者が固定制ではないので、あまり個性が出ないようでいて、

逆によく言われるような全体としての「塔っぽさ」が感じられます。

こういった話題も超結社の会ならではです。

私たち30〜40代の壮年歌人は10〜20代の青年歌人・50〜60代の熟年歌人に挟まれて

中間管理職的な立場だねーという話も。更に上の70〜80代バリバリ現役歌人もいて。

それから、もっとみんな気軽に結社へ入ってもいいのにね、という話もありました。

怖い・固い・きつい・簡単に辞められない、といった4K(勝手に私が名づけた)は

話を聞く限りいずれの結社でも無いですし、合う合わないは実際に入ってみないと

なんともわからないことです。結社の中でも欄で違いがあるのですし。。。

ご自身の心惹かれる歌をうたう歌人の所属する結社が一番の近道かとは思いますが、

結社誌を取り寄せたり、経験者に話を聞いたり、歌会を覗いたりで比較検討してみて、

考えた結果が無所属でも、全然かまわないと思うのです。

そういった手助けも壮年がやっていければな…と10年目にして思います。

私は勿論まだ育てられている身ですが、短歌のような「場」を必要とする文学は

バトンやバケツリレー(いや、どうなんだろうこの喩え)のように

人の力で、意志を持って、<繋げていく>ものだと思うのです。

 

さて来月のロクロクの会は、私がお題を決める名誉をいただきました。

2月にあわせてちょっとひねった題にしたので、どんな歌が読めるか楽しみです。

(自分の首を絞める)

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(二次会の塚田農場で昇進!した某さんのお祝い)